建設業では手形よりもファクタリングが一般化
建設業は、売掛金の発生から支払い日まで半年以上になるケースもあり、下請け業者は資金繰りで苦労します。
元請会社も業界ならではの事情を理解しているので、下請けの資金繰りをよくする対策を考えてくれています。
一昔前は手形による支払いが可能で、必要に応じて手形買取サービスで資金回転をよくする方法がありました。
近年ではファクタリングの普及によって、建設業で手形を利用する機会は減ってファクタリングが一般化してきました。
元請会社がファクタリングを推奨していて、手数料の安い3社間ファクタリングを対応できるのもメリットです。
大きい現場では数十社から百社以上の絡むこともあり、ファクタリングを利用する企業数は多くて、全体の3割以上は建設業のファクタリングが占めているとも言われています。
手形とは
銀行の用意した専用の紙に金額、日付等の必要事項を書いて行う取引です。
同じような決済方法で小切手があります。
小切手は原則、受け取ったら銀行ですぐに換金可能なのに対して、手形は支払い日が定められていて、記載されている支払い日よりも後に現金化する仕組みです。
たとえるなら、手形は通常は請求書と銀行振込によって行われる売掛金の流れを、銀行の用意した公的書類と銀行窓口で行う決済方法です。
支払い日よりも前に金融期間や専門業者に手形を買取してもらい資金回転をよくすることも可能です。
手形割引といって、相応の手数料を差し引かれますがファクタリングと同じような仕組みで本来の支払い日よりも前に現金化できます。
通常の売掛金の場合は、取引先の口座に直接振込をするためファクタリングで売掛債権を売るには、売掛先の同意を得てファクタリング業者に直接送金する3社間ファクタリングの手続きを進めるか、債権譲渡登記をして支払われる売掛金の受取権利をファクタリング業者が有することを証明する手続きが必要です。
手形であれば、発行元の同意は不要で譲渡できて、ファクタリングのように債権譲渡登記を求められることもありません。
つまり、売掛金の入金を待つ下請業者から見れば、手形は通常の売掛金の支払いよりもメリットの大きい支払い方法です。
建設業で手形からファクタリングに移行した理由
2社間ファクタリングと手形買取であれば手数料や手間の関係上、手形買取の方がメリットは大きいです。
建設業の場合は支払い日の遅くなる特性上、元請会社が資金繰り対策に協力的で、売掛先の同意を得る3社間ファクタリングが普及しています。
手形の場合は元請会社が倒産したときに不渡りになってしまうリスクがありますが、ファクタリングはノンリコース(償還請求権なし)の契約が主流で支払い日前に売掛先が倒産しても売掛債権を売却した業者が弁済する義務はありません。
下請け会社の保全上のメリットや3社間ファクタリングによる手数料の安さから、手形よりもファクタリングが一般化してきています。
建設業に限らず、手形による取引をしている業者を相手にしている場合は3社間ファクタリングを認めてもらえるケースが多いです。